【進撃の巨人】 never ending dream R18
第21章 咽び泣く~戸惑い~●
「もし、人間に痛覚が無ければ、死への恐怖は無くなるのかな?」
激しい情事を終え、気だるさの残る身体を壁に預けて座る。
そんなサラの膝を枕にし、リヴァイは床に寝転がった。
「“こんな狭くて汚ない場所”でよく寝れるな?」と、笑うサラに、「だるくて動きたくねぇんだ。」と、リヴァイはつぶやく。
一刻も早く兵舎へと戻って休まなければ、明日の壁外調査にひびく事は分かっている。
しかし、もう少しだけサラの温もりを感じていたいと、リヴァイは柔らかなサラの膝から動けずにいた。
「“痛み”が無ければ、死ぬのは怖くねぇとでも言うのか?」
髪を優しく撫でるサラへと、リヴァイはそう問い掛けた。
「えぇ。
そもそも人が恐怖を感じるのは、死へとつながるであろう痛みに対してであり、死ぬ事自体への恐怖とは違う気がするんだ。」
どうして突然そんな事を言い出すのだろうと、微睡む意識の中でリヴァイは不思議に思う。
“死への恐怖”
“痛みへの恐怖”
幾度の戦いを乗り越え、この調査兵団を率いる団長の地位にまで上り詰めたサラ。
そんなものはとっくの昔に断ち切ったはずであろう。
「それはどうかな。
少なくとも俺は怖ぇよ。
むしろ、“痛み”の方が耐えられる。
“痛み”は一瞬で終わるが、“死”は永遠に続く。
俺が死んだ後、この世界がどうなっていくのかも分からねぇ。
こうしてお前に触れる事も出来ねぇ。
考えただけでも怖ぇよ。
まぁ、こんな話をしたところで答えなんざ出てこねぇだろうな。
なんせ、死んだ奴にしか分からねぇ事だ。」
リヴァイの言葉に、サラは「そうだな。」と、小さく笑う。
髪を撫で続けていたサラの手が、リヴァイの頬に優しく触れた。