【進撃の巨人】 never ending dream R18
第21章 咽び泣く~戸惑い~●
「王都の女性の間ではね、好きな男性へお菓子を贈るのが流行しているそうなの。」
「好きな人?」
「そう。好きな人。
お世話になっている人でもいいんだよ。
例えば…ほら、サラちゃんなら、シャーディス団長かな?」
そう微笑みながら、クレアは出来上がったケーキを小さく切り分けていく。
「シャーディス団長なら、夕方には戻るはずだから、よかったら持っていってあげたら?」
そう言うと、クレアは引き出しから取り出した紙袋へと、出来立てのケーキを入れてくれた。
初めて作ったケーキ。
「ありがとう。」
そう言うと、私は片付けをする事も忘れ、急いで食堂を飛び出した。
早くこのケーキを渡したい。
きっと喜んでくれるはず。
“王都の女性の間ではね、好きな男性にお菓子を贈るのが流行しているそうなの。”
私がケーキを渡したかったのは、これから戻るであろうキースではなく、つい先ほどまで、私の頭を優しく撫でてくれていたモーゼスだった。