【進撃の巨人】 never ending dream R18
第21章 咽び泣く~戸惑い~●
「じゃあな、サラ。」
数ヶ月後、モーゼスは壁外調査へと向かった。
クシャクシャと頭を撫でる温かい手も、きっとこれが最後になるのだろうと…私は思う。
団長であるキース、分隊長である父、そして副分隊長であるメラニー。
巨人がはびこる壁外から何度も帰還している彼等と、新兵であるモーゼスは違う。
もう二度と会う事が無いであろうモーゼスの後ろ姿を、私は団長室の窓から静かに見送った。
数日後、わずかな生存者を連れ、キースと父…そしてメラニーはこの調査兵団本部へと帰還した。
しかしその中には、やはりモーゼスの姿は見当たらなかった。
ほら、やっぱり死んでしまったじゃないか。
“友達”だなんて…簡単に言わないでよ。
がらんと静まり返る兵舎の部屋と、団長室を行き来するだけの日々。
モーゼスがいなくなった事により、私はまた、狭い狭い世界の中に取り残されてしまったのだった。