【進撃の巨人】 never ending dream R18
第21章 咽び泣く~戸惑い~●
次の日も、その次の日も、モーゼスは私へと声を掛けてくれた。
なぜ、いつもこの時間に団長室の前の廊下にいるのかと、一度だけ尋ねた事がある。
“朝の自主訓練の帰りだ。”と、モーゼスは笑いながら言っていたが、本当は友達のいない私を気遣い、毎朝廊下を通る私を待っていてくれていた事に…何となくだが気付いていた。
しかし、そんなモーゼスを“友達”だと感じる事は一度も無かった。
毎朝の日課となった、モーゼスとの取り留めのない会話。
決して嫌では無かったが、どこかで私はモーゼスと一定の距離を保とうとしていたのだと思う。
いつからだろうか…。
あれは、ここで暮らす者達が、“調査兵団”と呼ばれる組織である事を知った頃だろうか。
それとも、“壁外調査”と呼ばれる壁外の探索活動が、調査兵団により行われているという事を知った時だっただろうか…。
私は気付いてしまっていたのだ。
私が調査兵団本部で暮らすようになってからの5年間に、兵士達の顔ぶれが大きく変わった事に。
キースや父、そしてメラニーをはじめ、大勢の兵士達が壁外へと向かう度、数日後の帰還時にはそのほとんどが戻らないという事に。
友達になったって、いつ死ぬか分からないじゃないか。
“友達は大切だ”とか、“友達を大事にしなさい”だとか…そんな事を子供に教えるには、ここでは人が死にすぎていたのだ。