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【進撃の巨人】 never ending dream R18

第21章 咽び泣く~戸惑い~●


モーゼスと別れ、私は団長室へ向かう事なく、渡り廊下を駆け足で、兵舎の部屋へと戻った。



部屋にはすでにクレアとメラニーの姿は無く、朝の眩しい日差しが差し込む窓辺からは、訓練の開始を告げる兵士達の声が聞こえていた。



私は部屋の隅に置かれた鏡台の椅子へ、ゆっくりと腰を下ろす。



鏡に映るのは、やはり父によく似た、青い瞳をした自分の姿だった。





私はクレアが編み込んでくれた髪を、少しずつ解いていく。

鏡台の引き出しから櫛を取り出し、癖のついた髪を丁寧にとかしていった。



やがて真っ直ぐと整い、艶やかな光を放ち始めたその髪を、私は慣れない手つきで結わえていく。





長い黒髪を後ろでひとつに結わえた自分の姿が、鏡へと映った。



そして…私は鏡の中の自分へと、優しく微笑んだ。





その瞬間、私の小さな胸を優しく締め付けるような、懐かしさ溢れる想いが湧き起こる。



細くなる目。

緩やかに下がる眉毛。

上がる口角。



モーゼスの笑顔に、忘れかけていた青果店の女店主であるモーゼスの母親を思い出したように、私は鏡に映る自分の笑顔に、忘れかけていた母の笑顔を思い出したのだった。



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