【進撃の巨人】 never ending dream R18
第20章 咽び泣く~生き方~
「失礼いたします。」
ゆっくりとドアが開き、そこに現れたのは、紅茶の注がれた2つのティーカップをトレーに載せたペトラだった。
しかし、いつもとは様子が異なって見えるペトラの姿に、リヴァイは首を傾げる。
よく見ると、腰まであった栗色の長い髪が、肩の上でバッサリと切り揃えられていた。
「よろしければ、お飲み下さい。」
少し恥ずかしそうに頬を赤らめ、ペトラはティーカップをサラの机へと置く。
「あぁ、ありがとう。」
先ほどまでのふくれ面が嘘のように、サラはペトラへと満面の笑みを返した。
「兵長も、よろしければどうぞ。」
いつもよりも少しぎこちない手つきで、ペトラはティーカップをテーブルへ置く。
「…すまねぇな。」と、リヴァイがティーカップへと手を伸ばした瞬間だった。
「申し訳ありませんでした!!」
団長室に響き渡るほどの大声で、ペトラはふたりへ向けて深々と頭を下げた。
「先日は…私の浅はかな行動により、お二人には大変不快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした!!
そして…ありがとうございました!!」
そう話すペトラの表情は、とても晴れやかで堂々としたものであった。
あどけなさの奥に、凛とした強さが備わり、つい先日のすがるような泣き顔が嘘のようだとリヴァイは思う。
「では、失礼いたします。」と、団長室を後にするペトラの背中が、以前よりもたくましく見えた。
「ペトラ、その髪はどうしたんだ?」
そう、サラが問い掛ける。
ペトラは振り返ると、恥ずかしそうに、切ったばかりであろうその軽やかな毛先にそっと触れた。
「ナナバさんに、切ってもらいました。
これは、私なりの…“ケジメ”です。」
「そうか。
よく似合っているよ。」
優しさ溢れるサラの言葉に微笑むペトラの顔は、やはり幼い少女のようであった。