【進撃の巨人】 never ending dream R18
第20章 咽び泣く~生き方~
“ルディガー・フリック”
ペトラと同じ訓練兵団出身であり、前回の壁外調査で惜しくも命を落としたリヴァイ班所属の兵士であった。
1年前、リヴァイ班の編成が大きく変わり、経験は浅いが腕の立つ新兵2人を、リヴァイは班員として指名した。
1人はオルオ・ボザド。
そしてもう1人が、ルディガー・フリックであった。
「先ほど…団長は、“会えない寂しさは、会えた時に埋めればいい。”と、おっしゃいましたが…もう二度と会う事が出来ない場合は…どうしたら良いのですか?」
ペトラは流れる涙を拭おうともせず、拳をきつく握り締め、サラへと問い掛ける。
予想だにしていなかったペトラの告白に、サラの心はひどく動揺していた。
何て無責任な事を言ってしまったのだろう。
まだ幼い少女のあどけなさが残るペトラ。
その震える小さな身体で、恋人を失う苦しみを受け止めようとしているのだと思うと、いたたまれない気持ちで胸が締め付けられた。
サラは、ソファーで涙をこぼし続けるペトラの前にしゃがむと、小さなその手を強く握り締める。
「…団長?」と、声を震わせるペトラの大きな瞳を、サラの青い瞳が真っ直ぐと見つめていた。
「さっきは…すまなかった。
ただ…これだけは分かって欲しい。
恋人に…恥じるような生き方をするな。
自分を傷付ける事は、自分を大切に想ってくれている人を傷付ける事と同じだ。
自分の心と…身体を大切にして欲しい。」
「…はい。」
核心をついたサラの言葉に、自分の不甲斐なさを恥じ、ペトラは唇を噛み締め、ただ泣きじゃくる。
そんなペトラの震える手を、サラはしっかりと握り締めた。