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【進撃の巨人】 never ending dream R18

第20章 咽び泣く~生き方~






「熱っ!!
…なんだよ、もう。」



沸騰した湯をティーポットへ注いでいたサラは、跳ね返ってきた熱湯に思わず声を上げた。



いつも団長室を訪れる度に紅茶をいれてくれていたリヴァイへ、今度は自分が紅茶をいれて執務室まで届けようと、給湯室で慣れない作業に奮闘していた。

思い起こせば、今まで一度も紅茶をいれた事など無かったと、初めて手にする花柄のティーポットを見つめながらサラは思う。

そもそも給湯室に入る事自体が久しぶりであったため、棚に並ぶリヴァイが買い集めた紅茶葉の数に戸惑いながらも、何とかふたつのティーカップへと紅茶を注いだ。



「…何だこの紅茶。
真っ黒じゃないか…。」



茶葉を入れすぎた事にも気付かずに、サラはどす黒い紅茶の入った花柄のティーカップをトレーへと載せ、給湯室を後にした。





執務室までの廊下を歩きながら、サラはリヴァイへ何と声を掛けようか考える。



“一緒に紅茶を飲まないか?”

“少し休んだらどうだ?”

“いつも、ありがとう。
感謝しているよ。”



“甘える”事は難しいが、このくらいの言葉なら私にだって言えそうだと、サラは思わず頬を緩ませた。





途中、訓練を終えたミケとすれ違う。

トレーに並ぶふたつのティーカップを覗き見ながら、「何だその飲み物は?豆の煮汁か?」と、驚くミケに「これは…“珍しい紅茶”なんだ!!」と、サラは言い返した。



こんなのは味や見た目よりも気持ちだろ?と、サラは自分に言い聞かせ、リヴァイの執務室へと急ぐ。





執務室の前の廊下へとさしかかった、その時だった。





バンッという大きな音を立て、執務室のドアが勢い良く開き、中からひとりの女性兵士が飛び出して来た。



腰まである艶やかな栗色の髪。



それは、溢れ出る涙に顔を濡らしたペトラだった。




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