【進撃の巨人】 never ending dream R18
第20章 咽び泣く~生き方~
ペトラの震えた唇が、リヴァイの唇へと優しく重なる。
その柔らかな感触は、いつも触れているサラのものとは違い、リヴァイの心を熱く高揚させる事はなかった。
「…おい、ペトラ。
こりゃあ一体、何の真似だ?」
唇を離し、頬を紅潮させながらうつむくペトラへと、リヴァイは冷ややかな言葉を吐く。
そんなリヴァイの腕を掴み、ペトラは今にも泣き出しそうな声でつぶやいた。
「兵長…。
私を…抱いて下さいませんか?」
「あ?」
一体何を言い出すんだと、リヴァイは顔をしかめながらペトラの手を払いのける。
鋭いリヴァイの三白眼に見つめられ、ペトラは気まずそうに視線を落としたまま、震えた声で訴えた。
「兵長と…団長は、恋人関係ではないと…団長からお聞きしました…。
それならば…例え私と関係を持ったとしても…誰も傷付きませんよね…?
私を…抱いて下さいませんか…?」
「おい。
自分が何を言ってるのか分かってんのか?
そんな事出来るわけねぇだろ。」
「…お願いします。
もう…苦しいんです。
“忘れて”しまいたいんです!!」
「ふざけるのもいい加減にしろよ。
“忘れたい”のはお前の勝手だ。
だがな、壁外で散った“アイツ”の想いを軽視するような行動は許さねぇ。」
リヴァイの言葉に、ペトラは肩をすくめ、その透き通った瞳からは大粒の涙をこぼした。
「…へい…ちょ…う…」と、時おりすがるような声を出しながら、ただ泣きじゃくるだけのペトラへと、リヴァイはため息をつきながら穏やかな口調でこう告げた。
「悪いが、惚れてもいねぇ女を抱く趣味は俺にはねぇんだ。
“あの女”が何と言っていたかは知らねぇが、アイツは俺の女だ。
俺が欲情するのはアイツだけだ。
ペトラ…分かったらもう出ていけ。」
ペトラはリヴァイへ向け、深々と礼をすると、涙に濡れる顔を手のひらで隠しながら、逃げ出すかのよう執務室を後にした。