【進撃の巨人】 never ending dream R18
第20章 咽び泣く~生き方~
「“愛する事”は、相手の立場を理解したり、相手を思いやったり…相手の命を大切にする事だ。
もし、君が恋人を“愛している”のならば、自ずと答えは見えてくるはずだよ。」
そう告げるサラの横顔を、ペトラの潤んだ大きな瞳が見つめていた。
「“愛する事”…ですか。」と、ペトラはつぶやく。
サラはそんなペトラへ視線を移すと、ふふっと無邪気な笑顔をこぼした。
「…なんて、偉そうな事を言っているが、私も好きな人に会えなければ寂しいと思うよ。
当然の感情だ。
会えない寂しさは、会えた時に埋めればいい。
今度、その恋人に会えた時は、目一杯甘えるといいよ。」
サラは足元に置かれた水差しを手に取り、そっと立ち上がる。
“目一杯甘える”
自分には一生かかっても出来そうにない事だなと、サラは思った。
しかし、純真無垢な優しい心を持ち合わせているペトラであれば、きっと上手に恋人へ甘えられるのだろう。
「私でよければ、また話くらいは聞くよ。」と言い残し、サラは兵舎へと向かう。
ふと、執務室にいるであろうリヴァイの事が頭をよぎったその時だった。
「団長!!」
振り返ると、慌てた様子でこちらへと駆けてくるペトラの姿があった。
「あの…団長。
ひとつ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
まるで捨て猫のような寂しげな表情。
きっと普通の男ならば、こんな女性を側に置いておきたいと思うものなのだろう。
サラは微笑みながら、「何だ?」と優しく問い掛けた。
「…団長とリヴァイ兵長は、恋人関係なんですか?」
どうしてそんな事を聞くのだろうとサラは思う。
リヴァイとの関係…。
そんなものは自分でもよく分からない。
“恋人”
その言葉には、やはり違和感がある。
不安げな表情でこちらを見つめるペトラへと、サラはおもむろに口を開いた。
「“恋人”ではない。
…ただ、セックスは割とよくするよ。」
「なんてね…。」と、サラはいたずらに微笑む。
しかし、そんなサラの表情とは裏腹に、ペトラの頬はわずかに紅潮していた。