• テキストサイズ

【進撃の巨人】 never ending dream R18

第20章 咽び泣く~生き方~


調査兵団本部と兵舎をつなぐ渡り廊下を歩く。

ふと、兵団本部を振り返ると、三階の部屋の窓が開いているのが見えた。
そこは、兵士長であるリヴァイの執務室だった。



ここ数日の間、サラとリヴァイが顔を合わせる事はほとんど無かった。

普段であれば、団長室で雑務に追われるサラのもとへと、紅茶を持ったリヴァイが訪ねて来ていたのだが、ペトラの一件以来、リヴァイがサラの団長室を訪れる事は無かった。

もちろん、兵舎の部屋へと訪ねてくる事も無い。



一体、リヴァイは何を考えているのだろう。



サラはカーテンがヒラリと揺れる執務室の窓を見つめた。





中庭の花壇へとやって来たサラの瞳に、黄色い花々と、キャメル色のジャケットをまとった女性の後ろ姿が飛び込んで来た。



自由の翼。
腰まである艶やかな栗色の髪。



「…クレア?」



サラはそうポツリとつぶやくが、そんなわけはないと、花壇の手入れを続けるその後ろ姿へ声を掛けた。





「ペトラ、何をしているんだ?」



そう穏やかに問い掛けるサラに気が付くと、ペトラは慌てた様子で立ち上がり、力強い敬礼をした。



「団長、申し訳ありません。
勝手に水をあげてしまって…。」



そう申し訳なさそうにうつむくペトラへと、サラは温かな笑顔を向ける。



「いや、いいんだ。助かったよ。」



サラの言葉に、強張っていたペトラの表情がフっと緩んだ。





サラはペトラからブリキ製の水差しを受け取ると、美しく咲き誇っている黄色い花々へ水をあげる。

そんなサラの姿を、ペトラはじっと見つめていた。



「君は花が好きなのか?」



「花は好きです。

ただ…今は何かをして気を紛らわせていたかったんです。」



サラの問い掛けに、ふと、ペトラの表情が曇った。




/ 841ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp