【進撃の巨人】 never ending dream R18
第20章 咽び泣く~生き方~
849年
「リヴァイとペトラが恋人関係なんじゃないかって、新兵の間で噂になってるらしいよ。」
「ペトラ?」
「ほら、初陣で失禁した子。」
団長室の机で書類へとペンを走らせるサラのもとを、ナナバが手紙を届けに訪れていた。
本来であれば、このような雑用は新兵の仕事なのだが、時おり団長室を訪れては騒ぎ立てるハンジのせいで、いつからか手紙を届けるのはナナバの仕事となっていた。
「ナナバ…そのような言い方をするな。
恐怖で失禁した兵士は他にもいる。
それと…私は噂話は嫌いだ。」
サラはナナバから手紙を受け取ると、再び手元の書類へとペンを走らせる。
ナナバは「失礼しました。」と、不満げに言いながら、団長室を後にした。
ペトラ・ラル。
サラがその名前をリヴァイの口から聞いたのは、つい数日前の事だった。
特別作戦班…通称“リヴァイ班”。
前回の壁外調査で惜しくも命を落としたリヴァイ班所属の兵士の後任として、リヴァイが指名したのがペトラであった。
しかし、もともと女性兵士を最前線に置く事を良しとしないサラは、すぐさまリヴァイの申し出を却下した。
「女性兵士が負傷すれば、男性兵士の死亡率が上がる。
ましてや君が率いる特別作戦班は、陣形の中で最も危険な任務にあたってもらっている班だ。
ペトラがどんなに優れた兵士であろうとも、君の班に女性兵士を置くわけにはいかない。」
「あ?何寝ぼけた事を言ってやがる。
てめぇも女だろ?
特別作戦班の編成は俺に決めさせてもらう。
てめぇに口出しはさせねぇ。
信頼できねぇ奴は俺の班にはいらねぇからな。」
その会話を最後に、ここ数日の間、サラとリヴァイが言葉を交わす事は無かった。