【進撃の巨人】 never ending dream R18
第20章 咽び泣く~生き方~
「…だがな、サラ。」
父はそうささやくと、涙で濡れる私の頬を、ゴツゴツとした大きな手でそっと包み込んだ。
「皆と違う事が、そんなに悪い事なのか?」
そう問い掛ける父の顔を、私は真っ直ぐと見つめた。
「私は…お前のその黄みがかった肌も、長い漆黒の髪も、東洋人特有の顔立ちも…とても美しいと思っている。
それでももし、お前が皆と同じがいいと言うのならば、私はこう考えよう。」
父の大きな手が、私の涙を優しく拭った。
「お前が悲しい時に、瞳から流れる“これ”は何だ?
お前のその小さな身体に、流れている血の色は何色だ?」
戸惑う私へと、父は続ける。
「人は皆、悲しい時には瞳から塩辛い涙を流す。
人は皆、身体の中には紅い血が流れている。
私達は、皆違って、皆同じなんだ。
だから…お前は何も恥じる事は無い。
誇りを持って生きなさい。」
父の言葉に、いつの間にか私の瞳からは涙が止まっていた。
透き通った父の青い瞳が真っ直ぐと私を見つめる。
“誇りを持って生きなさい。”
幼い私の傷付いた心は、父の不器用な愛情に抱き締められていた。
父は私の頭をポンと撫でると、そのまま格技場を後にした。
自由の翼をまとった父の大きな背中が去って行く。
それはとても気高く、そして…とても強く見えた。