【進撃の巨人】 never ending dream R18
第20章 咽び泣く~生き方~
いつものように、感情を全く表に出さず、仮面を被ったような父。
きっと、叱られるに違いない。
私は涙で溢れる瞳をきつく閉じ、そっと唇を噛みしめた。
格技場の扉が閉まる音がした。
コツンコツンと父の足音が徐々に近付いてくる。
父の雷を覚悟した、その時だった。
父のゴツゴツした大きな手が、私の肩を優しく抱いた。
驚いて目を開けると、そこには私の目線に合わせるようにしゃがむ父の姿があった。
「学校はどうしたんだ?」
抑揚のない声がそう問い掛ける。
「泣いていては分からないだろ?」
父の青く澄んだ瞳が、私の顔をのぞき込んでいた。
そんな父へと、私は震える声で問い掛けた。
「…どうして、私の肌は黄色いの?
どうして、私の髪は真っ黒なの?
どうして…?
私は…変なの?」
溢れ出る涙で、父の顔がぼやけて見えた。
私のこの問い掛けを、父は一体どんな表情で聞いていたのだろうか。
きっと、いつものように仮面を被ったような無表情だったに違いない。
「そうだな…。」と、父は少し考えた様子を見せ、泣きじゃくる私へとこう告げた。
「確かに、お前の肌は黄みがかっている。
その長い漆黒の髪も、私達のそれとは大きく異なっている。
お前の顔立ちは、東洋人特有のものだ。
この壁の中で暮らす東洋人はもう何人もいないだろう。
見慣れない者が違和感を覚えるのは当然の事だ。」
そう淡々と話す父の言葉に、私の小さな胸は傷付けられた。
どうして、そんな事を言うのだろうか。
溢れ出る涙を、私は拭う事さえ出来ずにいた。