【進撃の巨人】 never ending dream R18
第20章 咽び泣く~生き方~
重たい扉を開け、しんと静まり返った格技場の中へと入る。
そこは昼間だというのに薄暗く、辺りには兵士の姿がないせいなのか、ひんやりと不気味な空気だけが漂っていた。
私は冷たい床へと座り込み、とめどなく溢れ出る涙をスカートの裾で拭った。
一体、自分はどうすれば良いのだろうか。
学校へ戻る気になどなれない。
弟とクレアがいる兵舎の部屋へは行きたくない。
幼い私の胸にふつふつと湧き起こるのは、やはりキースの存在であった。
団長室へ戻ろうか。
しかし、団長室にはまだ父の姿があるかもしれない。
キースの怒鳴り声に驚いた事も事実であったが、その場に父が居合わせていた事に、私はひどく動揺してしまっていたのだ。
その時だった。
ふと、遠くで自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「サラ!!サラ!!」と、私の名前を叫ぶその声。
その声は徐々にこちらへと近付いてくる。
その声の主が誰であるかは、すぐに分かった。
私はこぼれ落ちる涙を拭う。
次の瞬間、ギィという大きな音を立て、格技場の重い扉が開いた。
「サラ…。」
そこに立っていたのは、紛れもない父の姿だった。