【進撃の巨人】 never ending dream R18
第20章 咽び泣く~生き方~
それでも私は、キースがいる団長室へ通う事をやめはしなかった。
弟の昼寝の時間。
それが私とキースとの大切な時間だった。
1年が経ち、6歳になった私は、父の勧めにより地域の学校へと通う事になる。
ウォール・ローゼ南部にある小さな学校。
私は父が買って来てくれた可愛らしいワンピースを着せられ、学校へと向かう。
しかし、私の心にあったのは、これから始まる学校生活への期待などでは無く、着たくもないワンピースを着せられた嫌悪感と、キースと離れ離れになってしまった事による孤独感だった。
学校ではいつもひとりだった。
自分の席へと座り、ただ時間が過ぎるのだけを待つ毎日。
勉強が楽しいとも思えなかった。
先生の話はいつも退屈で、私はいつも教室の窓から外を眺め、キースがしてくれた壁外の話を思い出していた。
そんなある日の休み時間、窓の外をぼんやりと眺めている私を、数人の男の子達が取り囲んだ。
そして、男の子達は私にこう言った。
「どうしてお前の肌は黄色いんだ?」
返す言葉が見つからず、ただうつむく私へと、男の子達は口々に言う。
「どうしてお前の髪は真っ黒なんだ?」
「変わった顔だな。」
「…気持ち悪い。」
気が付くと、私は教室を飛び出していた。
確かに、物心ついた頃から、周りの人間と自分との間に、人種的な差異がある事には気付いていた。
しかし、その事について特別問われた事もなければ、嫌な思いをした事もなかった。
溢れる涙を拭う事すら忘れ、私は無我夢中で走っていた。
私が向かった場所。
それは、団長室にいるであろうキースのもとだった。