【進撃の巨人】 never ending dream R18
第20章 咽び泣く~生き方~
「サラ、来なさい。」
先ほどよりも、父の声が少しだけ大きくなったような気がした。
「やめるんだ、エルヴィン。
この私が団長室に出入りする事を認めたんだ。
これからもサラには、ここへ来てもらって構わない。」
「いえ、なりません。
サラの世話はクレア・カーティスに任せてあります。
団長のお手を煩わせるわけにはいきません。」
「エルヴィン…私がいいと言っているんだ。」
「なりません。」
言い争うふたりの姿を、私はただ眺めている事しか出来なかった。
感情を表に出さず、淡々とした口調を繰り返す父に比べ、キースの言葉は徐々に荒々しいものへと変わっていた。
「エルヴィン!!
お前は俺の命令に逆らうのか!!
団長はこの俺だ!!」
バンッと机を叩く音とともに、キースの怒声が団長室に響いた。
初めて目にする感情的なキースの姿に、私は萎縮し、その場にうずくまる。
「…申し訳ありませんでした。」
父はそう言い残し、団長室を後にした。
バタンとドアが閉まったと同時に、キースは床に小さくうずくまる私の腕を強く掴んだ。
「サラ、おいで。」
キースは震える私を抱き上げ、再び膝の上へと乗せる。
「すまなかった。怖かっただろ?
もう、大丈夫だ。
お前は…お前だけは、俺の側にいてくれ。」
私の身体を強く抱き締めながらそう話すキースの声は、ひどく震えていたような気がした。