【進撃の巨人】 never ending dream R18
第20章 咽び泣く~生き方~
「サラ…その変わりというわけではないんだが…お前に頼みがあるんだ。」
遠慮がちにキースがそう話し出した時だった。
部屋のドアをノックする音とともに、聞き慣れた声がドアの向こうから聞こえた。
「エルヴィン・スミスです。
失礼いたします。」
「…エルヴィン?」
キースが返事をするよりも早く、団長室のドアが勢いよく開いた。
突然の父の来訪。
私は驚き、急いでキースの膝から降りると、机の影へ身を潜める。
しかし、そんな私を父が見逃すはずはなかった。
「サラ、ここで何をしている?
今すぐクレアのところへ戻りなさい。」
低く抑揚の無い声。
まるで仮面を被ったような表情。
私は後ずさり、椅子に座るキースの後ろへと隠れた。
「いいんだ、エルヴィン。
私がサラを呼んだんだ。」
そう言いながら、キースは私をかばってくれた。
しかし、そんなキースに父は、「団長の職務に支障をきたします。」と言い、その仮面のような顔を再び私へと向けた。
「サラ、こっちへ来なさい。」
私はキースの後ろへと隠れたまま、そこを動こうとはしなかった。
叱られるのは恐かったが、決して父が嫌いだったわけではない。
ただ…今私がここを離れてしまったら、二度とキースには会えないような気がした。
そうすれば、私にはまた“居場所”が無くなってしまう。
溢れそうな涙を必死にこらえ、私は首を横へと振った。