【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
「幼い頃、絵本に出てくるようなお姫様になる事が私の夢だったんだ。」
そう話しながら、サラはリヴァイの髪を石鹸の泡で優しく包み込んだ。
バスタブの中、サラの脚の間に座り、もたれるかかるようにして身体を倒しているリヴァイの髪を、サラは丁寧に洗っていく。
よほど気持ちが良かったのだろう。
取り留めのないサラの話に、リヴァイは「あぁ…。」とだけ返事をすると、そのままそっと寝息を立てはじめた。
「本当に、君は子供みたいだな…。」
普段はあまり見る事の無いリヴァイの姿に、サラは思わず顔がほころぶ。
「こんな所で寝ないでほしいな…。」
そう言うとサラは、リヴァイの髪を優しく洗いながら、穏やかな口調で語りはじめた。
「昔々、ある所にお姫様と王子様がいました。
お姫様と王子様は愛し合い、やがてふたりの子供が生まれました。
しかし、王子様は壁外にいる巨人と戦わなければいけないため、お城に帰って来る事はほとんどありませんでした。
お城には、お姫様と可愛いふたりの子供達だけが残されてしまいました。
そんなある日、お姫様は悪い奴らにさらわれてしまいます。
早くお姫様を助けなければ…。
しかし、王子様がお姫様を助けに行く事はありませんでした。
なぜなら、お姫様はもう殺されてしまっていたからです。
そして、残されたふたりの子供達は誓うのでした。
お姫様の…大切な人の命を守れるように、強くなりたいと…。
私は…絵本の中に出てくるようなお姫様になりたかった。
お姫様のようなワンピースが大好きだった。
でも、母が死んでからは全てが変わった。
強くなりたかった。
ただ、強く…強く。」