【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
「もしかして…全部聞いてたの?」
「…あぁ、すまない。」
「もう、信じられない!!
盗み聞きなんて最低!!」
ナナバは顔を真っ赤に上気させ、凄まじい勢いでミケへと怒りをぶつける。
これじゃまるで、今まで隠していたミケへの想いを告白してしまったようなものじゃないかと、ナナバは瞳に涙を浮かべ、スカートをきつく握り締めた。
そんなナナバへ、ミケは「本当にすまない。」と詫び続ける。
その言葉はまるで、“気持ちに応えられず、本当にすまない。”と、言っているようにも聞こえた。
心を優しく波打った先ほどの淡い期待は、言いようのない虚脱感へと変わっていた。
これが“現実”なのだと、ナナバは思う。
なんて残酷なのだろう…。
“辛くなんかないよ。”
そんな言葉、本当は嘘に決まってるじゃないかと、ナナバはうつむき、そっと唇を噛み締めた。
「俺も、サラが…アイツが生きていてくれるだけで充分だと思っていた時期もあった。
アイツが幸せになれるならと、リヴァイにアイツを託そうと思った事だってある。
しかし…なぜだろうな。
今この瞬間にも、思い出すのはアイツの事ばかりだ。
もし、リヴァイがもっと“嫌な奴”であれば、俺も“嫌な奴”になり、必死でふたりの邪魔をし、力尽くだろうとアイツを奪っただろう。
しかし、そんな事など俺には出来そうもない。
お前が言うように、…アイツの好きな男を、俺も好きなんだろう。」
そう言うと、ミケは立ち止まり、背中からずり落ちそうなゲルガーの身体を担ぎ直す。
重たそうなゲルガーの身体を後ろから支えようと、ナナバがそっとミケの腕に触れたその時だった。
「…だから俺は、お前の気持ちがよく分かる。」
そう、ミケは力の無い声でつぶやいた。