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【進撃の巨人】 never ending dream R18

第19章 咽び泣く~居場所~●


「今日は、すまなかった。」



泥酔し、ぐったりと人形のように動かないゲルガーを背中に担ぎ、ミケはそうポツリとつぶやく。

ナナバはミケの少し後ろを歩き、「何が?」と、首を傾げた。



「いや…本当はお前とふたりで来ようと思っていたんだが…ゲルガーに見つかってしまって。
自分も行くと言い出してきかなかったんだ。」



そう申し訳なさそうに話すミケの言葉に、ナナバの心がトクンと優しく波打った。





どうしてこの人は、いつも自分を喜ばせるような事を言うのだろうとナナバは思う。



喜ばせ、期待させ、そして次の瞬間には現実を突き付けてくる。

いつもその繰り返し。



何て残酷な人なんだろう。

そして、何て愛おしい人なんだろう。



「別にいいよ。
ゲルガーも喜んでたし、良かったじゃない。」と、ナナバは努めて明るく振る舞った。





ゲルガーを担ぐ大きな背中を見つめ、兵舎までの暗い道を歩く。

ふと空を見上げると、周りに明かりが無いせいなのか、いつもよりも星が輝いて見えた。

火照った頬を撫でる夜風が心地良い。

知らない間に随分と寒くなったんだなと、ナナバは秋の訪れを感じていた。





もし今夜、ミケとふたりで過ごしていたのならば、ふたりの関係は何か変わっていたのだろうかと、ナナバは酔った頭で想像をする。

結ばれる事は無いにせよ、ミケの背中におぶってもらえるのなら、酔って歩けないふりくらいはしたかもしれない。



そんな事を思いながら、軽々とゲルガーを背中に担ぐミケに置いていかれないようにと、ナナバは小走りでミケを追いかけた。



ミケの隣へと並び、歩幅を合わせて歩き出したその時だった。





「…俺は、辛い。」



ミケがそう、小さくつぶやいた。



何の事か分からずに戸惑うナナバへと、ミケは話を続ける。





「昼間、お前がサラにしていた話だ。」



そう言うと、ミケはゆっくりと星空を見上げた。




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