【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
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「…ミケさん。
ミケさんと飲むのなんて久しぶりで…俺、嬉しくて…。」
ゲルガーは呂律の回らない口調で、何度も同じ言葉を繰り返す。
脂ぎった赤い顔に、ひどく充血した虚ろな瞳。
このまま酔いつぶれるのも時間の問題だと、ナナバはゲルガーの手からグラスを取り上げた。
週末の酒場では、賑やかな宴が繰り広げられ、仲間や恋人達が楽しそうにテーブルを囲んでいた。
そのテーブルの間を、給仕の女達は料理や酒を注いで回る。
ガヤガヤと騒がしい店内で、ミケ、ゲルガー、ナナバの3人も、テーブルへと並べられたソーセージやチーズを摘まみながら、酒を酌み交わしていた。
「今日は朝まで飲ませて下さい…。
…ミケさん…俺、嬉しくて…。」
そこまで言うとゲルガーは、テーブルへと頭を打ち付け、動かなくなってしまった。
あなたは嬉しいかもしれないけれど、私にしたらあなたは邪魔者だよと、ナナバは冷ややかな視線でゲルガーを見つめる。
想いを寄せるミケとふたりで酒を飲む。
そんな至福の一時を、よりにもよって同期のゲルガーに邪魔されるなんて。
テーブルへと突っ伏し、深い眠りへと落ちたゲルガーの脚を、ナナバはミケに気付かれぬように蹴飛ばした。
「そろそろ、帰ろうか。
この人をいつまでもここに寝かせておくわけにもいかないし。」
そう言うとナナバは、ゆっくりと椅子から立ち上がる。
一瞬フラつく足元に、いつもよりも飲み過ぎていた事に気付かされた。
ゲルガー同様、自分もミケとこうして酒を飲めた事が嬉しかったのだと、自分の単純さに笑いが込み上げる。
それと同時に、淡い期待を胸に抱き、いつもは穿かないロングスカートを穿いてきてしまった自分の間抜けさに嫌気がした。