【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
「わかったら早くこっちへ来い。
“東洋人”のくせに、あまり手間を取らせるな。」
そう吐き捨てるようなディルクの言葉に、制止出来ないほどの激しい怒りがサラの全身を駆け巡った。
サラは無表情のまま、椅子に腰掛けるディルクの元へゆっくりと近寄る。
「最初から素直に従え。」と、だらしのない笑みを浮かべるディルクの目の前に立ち、サラは傍らに置かれた葡萄酒のボトルへと手を伸ばした。
「性根の腐った奴だ…。」
サラは低く抑揚の無い声でそうつぶやくと、ディルクの頭目掛け、頭上高くから葡萄酒を勢い良くぶちまけた。
「何をする!?」と、ディルクは赤紫色の液体に染まりながらジタバタともがく。
そんなディルクへと、サラは顔色ひとつ変えず葡萄酒をかけ続けた。
葡萄酒のボトルが空になると、サラはそのボトルを床に投げつけ、叩き割る。
床に散乱する粉々になった葡萄酒のボトルを見つめ、「無礼だぞ!!」と、ディルクは震える声を上げた。
「…無礼だと?
お前の方が無礼じゃないのか?」
サラは青ざめた表情を浮かべるディルクの胸ぐらを掴み、椅子の背もたれへと強く押し付けた。
身体の大きさのわりに力の弱いディルクは、苦しさに顔を歪め、その瞳には涙を浮かべる。
それでも力を緩める事無く、サラはディルクの胸を強く圧迫した。
「苦しいか?
壁外で死んでいった者達も、さぞ苦しかっただろうな。
お前に想像出来るか?
肉を裂かれ、骨を砕かれる痛みが。」
「…やっやめてくれ…。
たのむっ…。」
冷たい視線を落としながら、徐々に力を強めていくサラへと、ディルクは必死で許しを乞う。
ディルクの唇が徐々に青紫へと色を変えた。
「…意識を飛ばすなよ。
お前はもっと苦しんだ方がいい。」
そう言うと、サラはディルクの身体を椅子から引きずり下ろし、床へと叩きつける。
床に倒れ込んだディルクは、胸を抑えながら悶え苦しみ、大きな咳を数回繰り返した後、大粒の涙をこぼし失禁した。