【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
「ディルク伯爵様…。
私は…あなたが思うような清純な女ではないかもしれません。
あなたを…幻滅させたくはありません。」
大きく開いた胸元を両手で隠しながら、サラは頬を赤らめ、恥ずかしそうにうつむいた。
心にも無い事でもスラスラと言葉に出せるようになってしまったと、自分の演技力には我ながら感心する。
次にどんな言葉を吐けばこの男は喜び、金を出すのかと、サラはうつむいたまま思考だけを巡らせた。
そんなサラを見抜いたのか、ディルクは部屋の奥に置かれた椅子へ腰を下ろすと、深いため息をつきながらこう切り出した。
「スミス団長…。
いや、サラ。
君が清純な女でない事など百も承知だ。
その上で私は、君を“抱いてやる”と言っているんだよ。
勘違いするな。
決めるのは君じゃない。
この私だ。」
まったく、父親そっくりの腐った男だなと、サラは激しい憤りを覚える。
こうなった以上、下手に焦らした所で得る物は何も無いだろう。
弱みを握り、取引を持ち掛けた方が早そうだなと、サラがゆっくりと顔を上げたその時だった。
「君がもし、調査兵団などという“野蛮な組織”から足を洗ってくれるのであれば、私は君を妻として迎え入れてやってもいい。
君のような美貌の持ち主が、頭のおかしい調査兵団の連中と壁外で巨人と戦おうとするなど馬鹿げた話だ。
君の身体には美しいドレスや宝石が似合う。
汚らしい“自由の翼”とかなんとか言うふざけた物など、君にはふさわしくない。
ただ…君達、調査兵団には借りがある。
ウォール・マリア陥落により押し寄せる難民共を、壁外に連れ出し、数を減らしてくれた。
そのお陰で私達はこれまで通り、この豊かな水源地を所有し続ける事が出来ている。
金ならいくらでも出そう。
君は黙って脚を開きさえすればいい。
私のものになるんだ、サラ。
そうすれば、前回以上の金を調査兵団にくれてやる。」
薄ら笑いを浮かべ、勝ち誇ったような口調でディルクはそう話す。
葡萄酒をグラスへと注ぎ、それを一気に飲み干すと、いやらしい目つきでサラの身体を舐めるように見つめてきた。