【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
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「…この話には裏があってね。」と、ディルクは葡萄酒の入ったグラスを片手に、サラの胸をチラチラと見ながら得意気に話を続ける。
“表”の話に興味が無いのだから、“裏”の話など分かるわけがないだろうとサラは思うが、何とかディルクの機嫌を損ねないようにと、作り笑いを浮かべ、ただひたすら相づちを打ち続けた。
ふと、リヴァイはどこへ行ったのだろうとサラは屋敷内を見渡す。
色鮮やかな料理が並ぶテーブルから少し離れた場所に、不機嫌そうな表情を浮かべながら、酒の注がれたグラスを口に運ぶリヴァイの姿があった。
美しく着飾った女達に囲まれ、その眉間にはいつも以上に深いシワが刻まれている。
“リヴァイ様、リヴァイ様”と、甲高い声を出しているのがバルト侯爵夫人だろうか。
大きな胸を強調するかのように、リヴァイの腕へと身体を押し付ける夫人の下品な仕草に、サラは思わず舌打ちをした。
「私の話はつまらないか?」
ディルクがそう問い掛ける。
自分の話など上の空で遠くを見つめているサラが気に入らなかったのだろう。
ディルクはサラの顎を掴むと、無理矢理自分の方へと顔を向けさせ、唇を奪おうとしてきた。
「お待ち下さい、ディルク伯爵様。
皆が見ております。
ここでは…その様な事は出来ません。」
サラはうつむき、恥じらうようにディルクの唇を拒んでみせた。
(これ以上、触れてみろ。
お前のうなじを削ぎ落とすぞ。)
そう思いながらも、サラはディルクへと柔らかな笑みを向ける。
「あぁ、失礼。」と、手の甲に口付けるディルクの姿に、サラは思わず吐き気をもよおした。
バルトが溺愛しているという夫人に似て、端正な顔立ちをしているディルク。
しかし、その物言いは父であるバルトに瓜二つで、どうしてもサラはディルクを好きになる事が出来なかった。
早く帰りたい。
サラはグラスに注がれた葡萄酒を見つめ、深いため息をついた。