【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
「…辛いでしょ?」
ナナバの手を握り締めたまま、サラはそう問い掛けた。
ナナバは驚いた表情を見せ、「ちょっと…、何言い出すの?」と、戸惑い笑う。
そんなナナバを、サラは真っ直ぐと見つめ、憂いを含んだ微笑みを向けた。
「…辛くなんかないよ。」
うつむきながら、ナナバがそうポツリとつぶやく。
「確かに…最初は辛かった。
でも今は違う。
今は…彼が生きているだけで、私は幸せだと思えるんだ。
それに…“彼の好きな人”を、私も好きだから。」
そう微笑むナナバの顔は、一点の曇りもなく、晴れ晴れとしたものだった。
しかし、その大きな瞳は涙で潤み、長い睫毛をわずかに濡らしていた。
それは、この叶わぬ恋で傷付き、胸を苦しめた日々を想像するには充分で、サラは「…そう。」とつぶやくと、ナナバの手をもう一度強く握り、そっと手を離した。
「ほら、早く着替えて。
リヴァイがもう馬車で待ってる。」
「えぇ。」
ふたりは顔を見合わせると、優しく穏やかな表情でふふっと笑い合った。
サラはジャケットを脱ぎ、シャツのボタンを外していく。
その姿を眺めながら、ナナバはサラへと満面の笑みを向けた。
「サラ…ちゃんと下着も脱いでよ。」
「えっ?」
ただドレスを着るだけなのに、なぜ下着まで脱がなければならないのか…。
サラは不思議そうな表情を浮かべながらナナバを見つめるが、そんなサラの表情とは裏腹に、不自然なほどの笑顔でナナバはこう告げる。
「ドレスから下着が見えたら格好悪いでしょ?
だから王都の女性は皆、下着をつけないそうだよ。」
ナナバの言葉に、サラは一瞬、顔から血の気が引くような気がした。