【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
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「こんなの…どうやって着るんだよ…。」
部屋の中、サラはハンガーに吊るされたドレスを見つめながら頭を抱える。
バルト侯爵の生誕祭が数時間後に迫っていた。
早く身支度を整え、ウォール・シーナ内にあるバルト侯爵の屋敷へと向かわなければ。
そう思い、サラはピクシスからの“贈り物”であるドレスへ着替えようとするが、生まれて初めて目にする奇妙な形のドレスに、ただただ呆然とするばかりであった。
まるで葡萄酒のような、濃い赤紫色のロングドレス。
胸元が露出するようなワンショルダー、身体の曲線がくっきりと強調されそうなほど腰のラインはくびれ、片方の脚が太ももから見えるのではないかと思うほど、スカート部分には深い切れ目が入っている。
そんなドレスに合わせてなのか、木箱の中にはハイヒールまでもが入っており、ピクシス司令はなんて悪趣味なんだと、サラは深いため息をついた。
その時だった。
「ねぇ、サラ。何か手伝おうか?」
コンコンコンとドアをノックする音と共に、心配そうに問い掛ける声が廊下から聞こえた。
「助かるよ。手伝ってくれないか?」
サラがそう返すと、部屋のドアがゆっくりと開く。
そこには優しく微笑むナナバの姿があった。
「なかなか部屋から出てこないから、着替えに手間取ってるのかと思って見にきたの。」
「ありがとう、ナナバ。
ピクシス司令から頂いたドレスがあまりにも衝撃的だったんで…。
これを着て外を歩かなきゃいけないなんて、拷問以外の何ものでもないよ。」
そう言いながら、サラはハンガーに吊されたドレスを指差す。
ナナバはドレスを見るなり、ときめきを覚えた少女のように瞳を輝かせ、「わぁ。」と声を上げた。
「素敵じゃない、サラ。
まるで“お姫様”だね。」
そう言いながら、ナナバは子供のように無邪気に笑う。
確かに、ナナバのように背の高い女性であればきっと“素敵”に着こなせるのだろうなと、サラはドレスを手に取り微笑むナナバを見つめながらそう思った。