【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
「待て、リヴァイ。
君も一緒に行くんだよ。」
早くこんなくだらない話題から抜け出そうと、立ち去るリヴァイの背中をサラが引き止めた。
「あ?何で俺が行かなきゃならねぇんだ?
くだらねぇ…。」
巻き込まれてたまるかと、リヴァイは顔をしかめながらそう返す。
そんなリヴァイに、サラは全てを見透かしたような笑みを向けた。
「ピクシス司令の手紙によると、バルト侯爵夫人が君に会いたがっているそうだ。
バルト侯爵は夫人を溺愛している。
君が夫人に気に入られれば、それこそ多額の寄付金が受け取れるかもな。」
「何だそりゃあ。気持ち悪い…。」
「リヴァイ…君が一緒なら私も安心だ。
ハンジの言う通り、私達は個を捨て、公に心臓を捧げた兵士だ。
力を合わせて、共に壁外調査の資金を調達しに行こうじゃないか。」
不気味なほど、にこやかな笑顔を浮かべながら、サラはリヴァイへとそう尋ねる。
結局巻き添えを食らうはめになったと、リヴァイは深いため息をついた。
ただサラと紅茶が飲みたかっただけだったのにと、この場に居合わせてしまった事を悔やむ。
しかし、例え自分がこの場に居なかろうと、リヴァイにとってサラの命令は絶対だった。
「…てめぇの指示なら仕方ねぇ。好きにしろ。」
不機嫌そうに顔をしかめ、リヴァイは不本意ながらもサラに従う。
そんなくだらない場所に行きたくはないが、サラの尻を触ったという命知らずな男の顔を拝みたいという気持ちもあった。
「頼んだよ!!リヴァイ!!」
勢い良くハンジがリヴァイへと飛びつく。
「触るんじゃねぇ。てめぇは奇行種か。」
そんなハンジをリヴァイは不快そうに押しのけた。
ふと、リヴァイは机の椅子に腰かけるサラへと視線を向ける。
頬杖をつき、テーブルに置かれた木箱をじっと見つめていた。
その瞳はどこか悲しげで、尻を触られた事以外にも断りたい理由があったのではないかと…リヴァイはそう思った。