【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
「で?この木箱の中身は一体何だ?」
“尻を触られた”
その言葉に苛立ちながらも、リヴァイは目の前に置かれた木箱の中身が気になって仕方なかった。
「ドレスだよ。
ピクシス司令は前回もこうして招待状とともにドレスを贈って下さったんだ。
ねぇ、サラ。
早く開けて見せてよ。」
ナナバが屈託のない笑顔でそう話した。
くだらない。
そう思い、リヴァイは空になったティーカップを手に取り、ソファーから立ち上がる。
団長室を後にしようと、リヴァイがドアノブに手を伸ばした瞬間だった。
「ねぇ、リヴァイはどう思う!?
ここはサラに文字通り、“一肌脱いで”もらいたいとは思わないかい!?」
はしゃぐようなハンジの声がそう問い掛けた。
何を言い出すんだと、リヴァイは呆れた表情でハンジを見る。
「あ?俺には関係ねぇよ。」と、リヴァイは冷たい言葉を吐き捨てた。
ふと、ハンジの後ろに見えたサラの顔が、わずかに憂いを帯びたような気がした。
「とにかく、サラ!!
私達は個を捨て、公に心臓を捧げた兵士だ!!
巨人に奪われた領土の奪還、そして巨人の生態解明と課題は山積している!!
もはや手段を選んでなんていられないんだよ!!」
両手で机を叩き、ハンジがサラへと激しく詰め寄る。
そのあまりの気迫に圧倒され、サラは一瞬うつむき、重い表情でハンジを見つめた。
「あの男と…“寝ろ”とでも言うの?」
「もし、私がサラならそうするよ。」
つぶやくようなサラの問い掛けに、ハンジは真剣な眼差しで答えた。
「分かったよ。行けばいいんだろ?」
観念したようにサラがそう答える。
ひどく沈んだ表情のサラを無視するかのように、「やったぁ!!これで巨人を捕獲出来るぞ!!」と、ハンジが歓喜の声を上げた。
まったく、面倒くせぇ。
リヴァイは団長室を出ようと、再びドアノブに手を伸ばした。