【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
状況が理解出来ず、苛立ちを抑えきれないリヴァイは、隣で紅茶を飲み続けるミケへと尋ねた。
「おい…。
これは一体どういう状況だ?」
「あぁ…お前は知らないだろうな。」
そう言うとミケは、机の椅子へと腰かけ、不機嫌そうに顔をしかめているサラの手から、ひょいと手紙を奪い取った。
「…ちょっと、やめてよ。」と、サラは椅子から立ち上がり、ミケから手紙を奪い返そうとする。
しかし、身長155cmのサラが長身のミケに届くはずもなく、いじめっ子にオモチャを取り上げられた子供のように、「返してよ。」と背伸びをした。
ミケは奪い取った手紙の中から1枚をリヴァイへ手渡すと、残りの数枚をサラへと返す。
「他人の手紙を勝手に見るな。」と、目くじらをたてるサラを横目に、リヴァイは受け取った手紙へと視線を落とした。
「…招待状?何だこりゃあ?」
「…バルト侯爵。
ウォール・シーナ内の水源地を所有する貴族だ。
ピクシス司令はこのバルト侯爵の領地防衛も担っている。
バルト侯爵は毎年この時期になると、“生誕祭”と称した自身の誕生を祝う夜会を開くんだ。
まぁ…ここ数年は壁外調査の日程と重なり、欠席し続けているがな。」
鼻でフンと笑いながら、ミケはそう説明する。
確かにリヴァイの手元の招待状には『生誕祭』という文字が書かれているが、それが一体調査兵団とどう関係があるのか…再びリヴァイは首を傾げた。
「バルト侯爵は数年前に調査兵団へ多額の寄付金を申し出た奇特な人物なんだよ!!
その額はおよそ壁外調査2回分!!
その“生誕祭”とやらで、バルト侯爵のご子息にあたるディルク伯爵がサラに一目惚れしたそうなんだ!!
それでディルク伯爵がバルト侯爵に頼み込んで、調査兵団への寄付金を申し出たってわけさ!!」
ハンジが瞳を輝かせながらそう語る。
そんなハンジに、「何が一目惚れだ!!私は奴に尻を触られたんだぞ!!」と、サラは声を荒らげて怒りだした。