【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
「ちょっと…何騒いでるの?
廊下まで聞こえてきてたよ。
新兵の子が、サラに荷物を届けに来たら、中からハンジの怒鳴り声がして、入るに入れなかったって。
代わりに荷物を預かってきたから。」
そう言うとナナバは、大きな木箱を壁際のテーブルの上へと置いた。
大きさのわりには軽そうな木箱。
リヴァイは目の前に置かれた木箱を見つめながら、ミケと共に黙って紅茶を飲み続けた。
ナナバは懐から1通の手紙を取り出すと、意味ありげな笑顔でサラへと手渡す。
「ピクシス司令から。」
「…司令から?」
ふと、サラの表情が険しくなったのをリヴァイは見逃さなかった。
“ピクシス司令”…聞き慣れない名前にリヴァイは首を傾げる。
「おい…。誰だ?
ピクシス司令って野郎は。」
リヴァイはミケにそう尋ねた。
「ドット・ピクシス。
トロスト区を含む南側領土を束ねる最高責任者だ。
ピクシス司令からの“贈り物”か…。
嫌な予感しかしないな。」
眉をひそめ、そうつぶやくように話すミケの言葉通り、ナナバから受け取った手紙へと目を通すサラの表情が徐々に険しさを増した。
そんなサラの表情とは裏腹に、ハンジとナナバが顔を見合わせ、クスクスと笑う。
サラは手紙を読み終えると、頭を抱え、テーブルに置かれた木箱に視線を向けた。
「ナナバ…悪いが、今すぐ“アレ”をピクシス司令に送り返してくれ。」
嫌悪感をあらわにし、そう言い放つサラへ向け、ナナバは満面の笑みを返した。
「そんな失礼な事が出来るわけないでしょ。
いいから、早く開けて見せてよ。」
そんなナナバへ続くように、ハンジも弾けるような笑顔を見せる。
「やっぱり、サラは頼りになるよ!!
我が調査兵団の救世主だ!!」
サラの手を握り締め、ハンジが興奮気味に叫んだ。
そんな2人に囲まれ、サラは「私は絶対に行かないからな!!」と、駄々をこねるように言い放った。