【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
「私の名はキースだ。
サラ…また遊びに来てくれるか?」
「うん。また来るね。」
私はそう約束をし、兵舎へと戻った。
優しく穏やかなキース。
傷だらけの大きな手で頭を撫でてくれるキース。
幼い私の心は、キースによって満たされていった。
部屋へ戻ると、額に包帯を巻いた弟とクレアがいた。
「…トージ、さっきはごめんね。」
瞼を腫らし、クレアに抱き付いたまま離れようとしない弟の頭を、私は優しく撫でる。
「うん…いいよ。」
弟は小さな声でそう答えた。
“ならば両成敗だ。”
“お前だけが悪いわけではない。”
キースが知っていてくれさえすればいい。
そう思えた。
その日の夜、食堂で食事をする私の隣にクレアが座る事はなかった。
「ほら、トージ君。
ニンジンも食べなきゃダメだよ。」
弟は隣に座るクレアへと甘える。
しかし…そんな事はもはや気にもならなかった。
私の意識は既に別のところにあったのだ。
明日も…キースに会えるかな?
そんな事を考えていた。
私だけのキース。
私の生きる全て。
私はこの狭く歪んだ世界で、自分だけの居場所を見付けたのだった。