【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
「出てきなさい。」
廊下を歩く父の足音が聞こえなくなったのを確認し、男はソファーの下に隠れる私へと声を掛けた。
恐る恐るソファーの下から這い出た私は、男の鋭い視線におののき、その場に立ち尽くしてしまう。
そんな私の姿を、男はまじまじと見つめた。
「お前の名は?」
「…サラ…。サラ・スミス…。」
「サラか。…賢そうな名だ。」
張りつめていた糸が切れたかのように、男は突然フッと笑い出した。
「愛らしい娘だ。こっちへ来なさい。」
先ほどとは打って変わり、クシャクシャとした笑顔を見せるその男に、私はなぜか親しみを覚えた。
私はゆっくりと男のもとへ歩み寄る。
机の脇に立つと、男は私の頭を傷だらけの大きな手でそっと撫でた。
「こんな所で何をしていたんだ?」
「…弟に…怪我をさせたの…。」
そう答える私の瞳からは、涙が溢れ出す。
頬を伝うその涙を、男は優しく拭ってくれた。
男の傷だらけの手が、私の顔を包み込む。
男は私の顔を見つめ、こう尋ねた。
「怪我ならお前もしているだろう。
この頬の傷はどうしたんだ?」
「…弟が…。」
「そうか…。」
声を上げ、ただ泣きじゃくる私の身体を、男はそっと抱き上げ、膝の上に座らせてくれた。
「ならば両成敗だ。
お前だけが悪いわけではない。」
男は泣き続ける私を優しく抱き締めてくれた。
「もう泣くんじゃない。
可愛い顔が台無しだ。」
男の温かい大きな腕に守られながら、私は身体を震わせ、泣き続けた。