【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
「それはダメ!!」
私は絵を取り返そうと、弟の腕を強く掴む。
ジタバタと暴れる弟の爪が、私の頬を引っ掻いた。
「トージ!!やめてよ!!」
気が付くと、私は弟を突き飛ばしていた。
床に倒れた弟の側には、破れたお姫様と王子様の絵が落ちていた。
「痛いよ!!痛いよ!!」
椅子に強く打ち付けたのか、弟は額を押さえ、声の限りに泣き叫ぶ。
「トージ…ごめんね…。」
顔を真っ赤にしながら泣きじゃくる弟を抱き起こそうと、弟へ手を伸ばした時だった。
「どうしたの!?大丈夫!?」
勢いよくドアを開け、慌てた様子でクレアがやって来た。
ひどく疲れた様子のクレア。
瞳は赤く充血し、青白く生気の無い顔はまるで別人のようだった。
弟は私の手を払いのけると、クレアの腕の中へと飛び込んでいく。
「クレア…クレア…。
姉さんがね、姉さんがね…。」
額を押さえ、しゃくりあげるように泣きながら、弟はそうクレアへと訴える。
「大丈夫?痛かったね。
もう、大丈夫だからね。
お医者さんに診てもらおうね。」
クレアは弟を抱きかかえると、ただ呆然と立ち尽くしている私へと視線を向けた。
「仲良くしないとダメじゃない!!
サラちゃんは“お姉さん”なんだから!!」
今まで聞いた事もないような、クレアの厳しい口調に涙が溢れ出した。
「だって…トージが…。」
そう口を開いた私を無視するかのように、クレアは弟を連れ、医務室へと向かった。
バタンというドアを強く閉める音が、私より弟の方が大事だと…そう言っているように聞こえた。