【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
「えっとね…お絵描きとね、絵本とね、えっとね…。」
弟は美味しそうにパンを頬張りながら、メラニーに今日の出来事を話す。
近くのテーブルに座っていた兵士達も、一生懸命に身振り手振りを交えて話す弟の姿を見て、「可愛いね。」「お利口だね。」と、口々に言っていた。
私はそんな弟を、ただ眺めていた。
「サラちゃんはニンジン食べれるの?」
クレアが優しく尋ねる。
「…うん。ニンジン大好き。」
恥ずかしそうに私は答えた。
「サラちゃんは好き嫌いが無くてえらいね。」と、微笑んでくれるクレアが、弟ではなく私の隣に座ってくれた事が、ただただ嬉しかった。
「エルヴィン分隊長もひどいよね。
こんな小さな子供を部屋に閉じ込めておくなんて…。
それじゃあ、まるでただの家畜じゃない。」
ふと溜め息混じりに言ったメラニーの言葉を、私は聞き逃さなかった。
その言葉は…「やめなさいよ。」と言いながら、眉をひそめたクレアの表情とともに、数十年経った今も、私の脳裏から離れずにいる。