【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
クレアは絵本を読んでくれた。
かくれんぼもしてくれた。
弟の昼寝にも付き合ってくれた。
狭い部屋に閉じ込められていた私達の元へと舞い降りたお姫様…。
優しく微笑むクレアの顔を見ながら、私はそんな事を思っていた。
「今日はね、お父さんの帰りが遅いみたいなの。
だから、みんなと一緒に食堂でご飯を食べようね。」
夜になり、クレアは兵舎の食堂へと私達を連れて行ってくれた。
今まで許される事のなかった“外”の世界。
狭い部屋の中で何週間も過ごしていた私達にとって、全てが新鮮であり、そして不安でもあった。
ぼんやりと明かりの灯る廊下。
ザワザワと聞こえてくる人の声。
私達はクレアに手を引かれながら、食堂へと向かった。
時おりすれ違う若者達は、やはり皆、父と同じキャメル色のジャケットを着ている。
それがなぜか私には不思議で、クレアの後ろへ隠れながら、行き交う兵士達をじっと眺めていた。
あの頃の私は、まだ“調査兵団”を知らなかったのだ。