【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
「トージ君、これは何?」
「これ、とーさん。」
「じゃあ、こっちは?」
「ねーさん。」
部屋の中央に置かれたテーブルに、先ほど描いた絵を広げながら、弟はクレアの膝の上で得意気に説明をする。
そんな弟の隣で、私はただ黙々と絵を描き続けた。
優しく微笑むクレアの横顔に、私は時おり視線を向ける。
目が合う度に、「上手だね。」「すごいね。」と言って笑ってくれるクレアが、私はとても嬉しかった。
「…出来たよ。」
「わぁ、可愛いね。」
私の描いたお姫様と王子様の絵を見て、クレアは天使のような笑顔で私の頭を撫でる。
何だかそれが嬉しくもあり、恥ずかしくもあり…私は顔を赤らめてうつむいた。
「サラちゃんは、お姫様になりたいの?」
そう尋ねるクレアは、やはり絵本の中のお姫様そのものだった。
「…ううん。王子様になりたい。
お姫様は弱いから…。
お姫様を守る王子様になりたい。」
今思えば、なぜあんな事を言ってしまったのか不思議だ。
クレアは少し悲しそうな表情を浮かべ、「そうなんだ。」と笑ってくれた。