【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
「トージ、お絵描きしよう。」
ドアの前で泣き疲れ、うずくまる弟へと、私は紙とペンを差し出す。
毎朝、父が部屋を出て行く度、弟はドアの前で「とーさん、とーさん。」と泣き叫んだ。
母と3人で暮らしていた時は比較的大人しかった弟だったが、母がいなくなり、父と3人で暮らすようになってからは、大人へ対しての執着心からか、父の姿が見えなくなると、途端に弟は火がついたような大声で泣き出した。
しかし、ひとしきり泣くと、疲れたように弟は大人しくなり、父が戻って来る夜までの間、私の言う事をきちんと聞いてくれていた。
それでも、こうして毎朝続く耳をつんざく弟の泣き声に、私は正直嫌気がさしていた。
弟は私から紙とペンを受け取ると、床に座ったまま絵を描きはじめる。
父がくれた便箋と使い古しのペン。
器用に円を描きながら、「これ、とーさん。」「これ、ねーさん。」と、楽しそうに弟は話す。
私はそんな弟を眺めながら、次は何で遊ぼうかと考える。
父が戻って来る夜までの間、何とか弟の気を引かなければと、私は毎日そればかりを考えていた。