【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
5日後、弟の熱は嘘のように下がった。
不思議な事に、熱が下がってからというもの、弟が「かーさん」という言葉を口にする事は無くなった。
そのかわりに、今度は「とーさん、とーさん。」と、弟は父の側から離れる事を極端に嫌がるようになってしまった。
父にまとわりつき、父の腕に優しく抱きかかえられる弟を、私はいつも隣で眺めていた。
父は毎朝、私達を残して部屋を出ると、夜まで帰って来る事はなかった。
手洗い以外、部屋から出る事を禁じられていた私達は、狭く殺風景な父の部屋で毎日を過ごしていた。
そんな中、私はあの2人と出会う。
大好きだったはずなのに、憎む事しか出来なかった大切な人。
私に居場所をくれ、私の生きる全てであった大切な人。
今となってはもう会う事のない、大切な2人…。
私はこれからも、あの2人を心の内で慕い、愛し続けるのだろうと思う。