【進撃の巨人】 never ending dream R18
第18章 咽び泣く~親を夢む~●
サラは肩に掛けられていた毛布を畳み、食堂へと向かう。
起床時間はとっくに過ぎていた。
皆、朝食を終え、訓練に励んでいる頃であろう。
サラは廊下の窓から、乗馬の訓練を行う兵士達を眺めた。
食堂へ行くと、そこにはリヴァイの姿があった。
窓際の席に座り、どこか遠くを見つめがら紅茶を飲んでいる。
サラはパンとスープをトレーに載せると、リヴァイの正面へと腰を下ろした。
「何を見ているんだ?」
サラは微笑みながら、リヴァイへと問い掛ける。
「いや…。
昨日降っていた雪はもう溶けちまったんだなと思っただけだ。」
そう言うとリヴァイは、飲みかけの紅茶をテーブルへと置いた。
ウォール・ローゼ南側のこの地区に雪が積もる事はない。
だからこそ、中庭にある花壇には一年中、色とりどりの花が咲いていられる。
しかし、四季の移り変わりがあまりないこの風景は、リヴァイにとってどこか退屈にも思えたのだろう。
ぼんやりと外を眺めながら、椅子の背もたれに寄りかかるリヴァイへと、サラは穏やかな笑みを向けた。
「雪遊びでもしたかったのか?」
「そんなわけねぇだろ。」
顔をしかめながらも、リヴァイの声はどこか優しかった。
こんな他愛もない会話を繰り返すこの一時が、サラにとってはとても愛おしいものであった。
団長就任から2年が経ち、周りを見渡せば、気兼ねなく話しが出来る相手などほとんどいなくなっていた。
同期の仲間であったはずのハンジとミケでさえも、今では団長と分隊長の関係だ。
他の兵士達の手前、以前のように冗談を言い合ったりする事もほとんどない。
今となっては、こうして“兵士長”であるリヴァイとの時間が唯一、心休まる瞬間であった。
サラにとってリヴァイは、2年前よりも大きな大きな存在となっていた。