【進撃の巨人】 never ending dream R18
第18章 咽び泣く~親を夢む~●
「…父さん…。
母さんは…いつ…帰って来るの…?」
そう父へと問い掛けた言葉とともに、私の瞳からはまた涙が溢れ出した。
父を困らせたかったわけではない。
ただ…“すぐ帰って来るよ。”と、父の口から言ってほしかった。
父は少し困ったような表情を浮かべ、泣きじゃくる私の頭をクシャクシャと撫でる。
そして…私の身体を優しく抱き寄せた。
「母さんは…もう、帰らない。」
「…どうして…?」
「どうしてもだ。」
父の腕が、私の身体をきつく抱き締める。
先ほどよりも強く、父の香りがした。
父の大きな腕に守られ、私はただ泣き続けた。
その日の夜、シガンシナ区にある私達の家は放火され、全焼した。
翌朝、後処理のために再びシガンシナ区へと向かう父の姿を、兵舎の窓から眺めていた。
弟は「かーさん、かーさん。」と泣き続けたが、私の瞳から涙が落ちる事はもうなかった。
母さんはもういない。
帰る家もなくなった。
私達は、ここで暮らすしかないんだ。
そう思った。