【進撃の巨人】 never ending dream R18
第18章 咽び泣く~親を夢む~●
父の部屋は、幹部棟の一番奥にあった。
10畳ほどの広さに、ベッドと本棚、そして中央にテーブルと椅子が置かれているだけの殺風景な部屋。
父は微睡み始めた弟を、優しくベッドへと寝かす。
「父さんはまだ仕事があるから、お前ももう寝なさい。」
そう言うと、父はマントの内側に隠していた刀をベッドの下へ置き、私達を残してどこかへ行ってしまった。
瞼を腫らし、ベッドで寝息を立てる弟。
そんな弟とふたりになった私の心に押し寄せたのは、母に会いたいという寂しさだった。
母さん、どこに行ったの?
早く帰って来て。
私は部屋の隅で、膝を抱えて泣いた。
弟を起こさぬよう、声を押し殺し、誰にも気付かれぬよう泣いた。
本当は、もっと早く泣きたかった。
だけれど、いつも先に泣くのは弟の方だ。
私まで泣いてたら、きっと父さんは困るから…。
幼いながらの、私の強がりだった。