【進撃の巨人】 never ending dream R18
第18章 咽び泣く~親を夢む~●
小さな弟と私が振り落とされないように、父はゆっくりと馬を走らせる。
「かーさん、かーさん。」と、弟がぐずる度に父は馬を止め、弟を優しく抱き上げた。
ウォール・ローゼまでの百数十kmの間、父が口を開く事は一度もなかった。
私達がウォール・ローゼ内にある調査兵団本部へと着く頃、辺りは闇に包まれ、木造の兵舎からこぼれるランプの明かりだけがぼんやりと見えていた。
「ここ、どこ?」
「調査兵団本部だ。」
私の手を引き、眠い目をこする弟を抱きかかえながら、父はぼんやりとランプの明かりが灯る兵舎へと向かう。
古めかしい木造の建物に、私は今まで感じた事のない異質な空気を感じていた。
度々すれ違う兵服を着た若者達が、父を見るなり拳を強く胸に当て敬礼をする。
その姿は幼い私にとって、どこか怖いものにも見えた。
“エルヴィン分隊長”
父がそう呼ばれている事を、この時、私は初めて知った。