【進撃の巨人】 never ending dream R18
第18章 咽び泣く~親を夢む~●
その後の事はあまりよく覚えていない。
「サラ、サラ。」と、名前を呼ぶ父の声で、私は目を覚ました。
地下室の床下で眠っているところを、父に発見された。
地下室の床下…。
そこは母がいつも、稽古が終わる度に“ニホントウ”と呼ばれる刀を隠していた場所だった。
古めかしい袋に入った刀を握り締めながら、私はいつの間にか眠ってしまっていたらしい。
そんな私を、父は床下から優しく抱き上げてくれた。
私の手から、重たい刀がガシャンと床に落ちる。
父はその刀を拾い上げると、マントの内側へと隠した。
「父さん…。母さんがね、母さんがね…。」
そう言葉をつまらせる私に、父は「あぁ。」と一言だけ返事をする。
いつものように無表情で、仮面を被ったような父の顔。
父は私の手を引き、地下室を後にする。
ふと、父は床に広がる赤黒い血液へ視線を落とした。
その時でさえも、やはり父の表情が変わる事はなかった。