【進撃の巨人】 never ending dream R18
第18章 咽び泣く~親を夢む~●
家までの数十メートルが、とても長く感じた。
いつもであれば、暖かなランプの明かりが灯っているはずの家。
しかし、真っ暗でしんと静まり返った家からは、ひんやりとた冷たい空気が流れていた。
私は家の中へ入ると、テーブルに置かれていた手持ちランプに明かりを灯す。
ぼんやりとした明かりに浮かび出されたのは、台所に散乱する切り掛けの野菜だった。
夕飯の支度をしていたはずの母が、なぜ百数十kmも放れた街で事故に遭うのか…。
今考えば、母の死はあまりにも不自然だった。
「母さん。母さん。」
突然、自分達の前から姿を消してしまった母。
私は泣きながら、家中を探し回った。
そして…たどり着いたのは、稽古場である地下室だった。
いつも母が厳重に鍵を掛けていた地下室。
しかし、その扉は壊され、私の帰りを待っていたかのように、大きく口を開けていた。
「母さん、どこ?」
私はランプの明かりを頼りに、地下室へと入る。
ひどく淀んだ空気が、部屋の中に溢れていた。
ふと、足の裏に、ねっとりとした感触が伝わる。
濡れているのかと、ランプの明かりで床を照らす私の目に飛び込んできたのは、水溜まりのように広がった、赤黒い人間の血液だった。