【進撃の巨人】 never ending dream R18
第18章 咽び泣く~親を夢む~●
辺りが夕日に包まれる頃、私は弟の手を引きながら家路を急いだ。
先ほどの憲兵の事などすっかり忘れていた。
「今日の夕飯は何だろう。」
あの頃の私には、自分のしてしまった事がどれほど罪深い事なのか…理解出来ていなかったんだ。
徐々に狭くなっていく道を、弟と歩く。
ゆるい坂を下り、角の家の前を横切ろうとした時だった。
「サラちゃん!!」
角の家の中から、突然名前を呼ぶ声がした。
角の家…そこはアルレルト夫妻の家だった。
夫婦二人暮らしのアルレルト夫妻は、近所に住む私達の事を気にかけ、よく声を掛けてくれていた。
採れたてたての野菜をもらい、お礼に母の焼いたケーキを届けた事もある。
夫婦には内地で暮らす息子がひとりいると、聞いた事もあった。
「おばさん、こんばんは。」
そう恥ずかしそうに挨拶をする私に、アルレルト夫人は青ざめた表情でこう告げた。
「お母さんが…お母さんが、トロスト区で事故に遭って亡くなったのよ。」