【進撃の巨人】 never ending dream R18
第18章 咽び泣く~親を夢む~●
「今日の稽古はこれで終わります。」
「ありがとうございました。」
母は膝を揃えて床へと座る。
そんな母へ向け、私も同じように床へと座り、座礼をする。
稽古が終わると、夕飯までの数時間は、弟を連れて外で遊ぶ事を許された。
私はいつものように、稽古着から水色のワンピースへと着替えをすませる。
数ヶ月前、壁外調査から帰還し、一時帰宅を許された父が、私に似合うだろうと買ってきてくれたワンピースだ。
裾がふわりと広がったそのワンピースを着ていると、まるで絵本に出てくるお姫様になれたような気がして、幼い私の心はときめいた。
「暗くならないうちに帰って来るのよ。」
「うん。行ってきます。」
昼寝から目を覚ました弟の手を引き、私は家を出る。
振り返ると、笑顔で手を振る母の姿が見えた。
今ではもう、思い出す事が出来ないその笑顔。
私が最後に見た、母の姿だった。