【進撃の巨人】 never ending dream R18
第18章 咽び泣く~親を夢む~●
“その日”は突然やってきた。
私はいつものように、家の地下室で母から剣舞の稽古を受けていた。
昼間だというのに窓ひとつ無い地下室の中は暗く、ぼんやりと灯るロウソクの炎を頼りに、母が舞う姿を必死で真似た。
“ニホントウ”と呼ばれる刀を持ち、重みのある舞を見せる母。
そんな母が口ずさむ詩に合わせ、私は刀に見立てた木の棒を持ち、剣舞の“真似事”を繰り返す。
時おり、母の刀を持たせてもらえる事もあったが、ずっしりと腕に伝わるその重さに、振る事はおろか、鞘から抜く事すら出来なかったのを覚えている。
いつか大人になったら、母のような舞が出来るようになりたいと、幼い私は夢に胸を膨らませていた。
上手になったら、父さんにも見てもらいたいな。
幼い私は、それが壁外から持ち込まれたものだという事を知らなかった。
なぜ母が人目を避けるように、暗い地下室で稽古をつけてくれていたのかを察せられるほど、私は賢くなかったのだ。