【進撃の巨人】 never ending dream R18
第3章 出会い~取引~
アンカーが建物の壁に刺さり、ワイヤーが巻き取られる。
風の吹く事が無い地下街で、唯一風を感じられる瞬間だ。
感情が高まる。
リヴァイは空中で旋回し、後ろを振り返った。
そこに追っ手の姿はもう無かった。
(来ねぇな。ちょっとムキになっちまったか…。)
そう思った瞬間だった。
木戸を突き破り、飛び出してきた大柄の男がリヴァイに襲いかかった。
「チッ。くそっ…!!」
リヴァイは男のマントを掴み、地面へと叩きつけるように投げ飛ばした。
男は素早く体制を整えると、またしてもリヴァイに襲いかかる。
リヴァイはすかさずアンカーを建物の壁に打ち込み、空中へと移動する。
下を見ると、大柄の男にリヴァイを追う様子は無く、ただこちらを見つめているだけだった。
(こいつが、スミスか…?)
リヴァイの鋭い眼差しが、男へと向けられる。
その時だった。
ワイヤーで巻き上げられていたリヴァイの身体が、衝撃とともに落下しはじめた。
「なにっ!?」
見上げると、マントのフードを深く被った人物が、リヴァイの立体機動装置のワイヤーを切断していた。
(もう1匹いやがったのかっ!?)
その人物は建物の高層部分にアンカーを打ち込み、留まっている。
もう片方のアンカーを早く打ち込まなければ落下する…そう思ったリヴァイの目に飛び込んできたのは、その人物がフードを脱ぐ姿だった。
(女!?)
不意をつかれ、慌てて発射されたアンカーは、壁に打ち込まなれる事無くリヴァイと共に落下した。
仰向けで倒れたリヴァイの身体に、激痛が走る。
朦朧とした意識の中で、リヴァイは目をそらせずにいた。
背中の紋章。
揺れる黒髪。
紅潮した唇。
全てを見透かしているような青い瞳は、リヴァイを見つめている。
(あぁ…間違いねぇ。コイツがスミスだ。)