【進撃の巨人】 never ending dream R18
第17章 強く結ぶ~決別~
先ほどよりも多くの兵士が、調査兵団本部へと集まり出していた。
しかし、口を開く者は誰一人おらず、ひどく静まり返った本部内には、時折、女子兵士のすすり泣く声が聞こえた。
皆、調査兵団の今後が気になるのであろう。
疲弊しきった様子でうつむくサラ達の後ろ姿を、全員が固唾を飲んで見守っていた。
その時だった。
緊急事態を知らせる鐘の音が、調査兵団本部に響き渡った。
「緊急事態…?」
「…まさか?」
何事かと、兵士達が一斉にどよめきだす。
そんな兵士達の間をすり抜け、現れたのは駐屯兵団の早馬だった。
「緊急事態です!!
突如出現した“超大型の巨人”により、シガンシナ区の扉が破壊されました!!」
辺りが一瞬にして静まり返った。
早馬に乗った急使の荒々しい呼吸だけが聞こえる。
青ざめた表情を浮かべ、激しく動揺した様子の急使の言葉に、兵士達はただ愕然とするばかりであった。
「破壊された穴からは次々と巨人が押し寄せ、シガンシナ区は壊滅状態です!!
現在、我々駐屯兵団が巨人の迎撃と住民の避難にあたっています!!
増援を要請します!!」
ついにこの日が来てしまったと、サラの背筋から冷たい汗が流れる。
当たり前の風景、当たり前の日常。
全てが崩れ去ってしまう、その日がやってきてしまったのだと…失意に陥ったサラの身体は固く凍りつき、その思考を止めた。
打ちひしがれたサラの瞳には、夕闇に燃える朱色の光だけが炎のように映っていた。